口内炎の種類

口内炎の種類

アフタ性口内炎とは、口内炎の中でも、最も多くみられる口内炎です。単純に、アフタとも呼ばれています。アフタ性口内炎の症状は、口の中に、円形や楕円形の潰瘍ができます。潰瘍の表面は、白色や黄色がかった白色をしており、周囲は赤くなっています。潰瘍の中央は少しくぼみ、クレーターのような形をしています。口の中であれば、頬の内側、舌、歯ぐきなど、どこにでもでき、一度に1個〜数個の潰瘍が現れ、痛みを伴います。1週間〜2週間ほどで治りますが、定期的に繰り返すことを、再発性アフタ性口内炎といいます。

 

アフタ性口内炎ができる原因は、口の中に傷を作ってしまったり、ストレスや疲労によって、体力が低下したり、栄養不足、他の疾患が原因であったりとさまざまです。体力低下に伴い、雑菌がたくさんいる口腔内の免疫力も低下することで、炎症を起こします。また、ビタミンB群やビタミンCが不足していると、口内炎になりやすく、ビタミン剤やサプリメントを摂取することは、予防に有効とされています。

 

アフタ性口内炎とベーチェット病による口内炎の症状や見た目はほぼ同じであり、自分で判断することはできません。口内炎を繰り返し起こす場合などは、注意が必要です。アフタ性口内炎にならないためにも、予防は大切です。口の中を清潔に保ち、傷をつけないように注意しましょう。入れ歯や矯正器具が口腔内粘膜に接触するなどの場合は、行きつけの歯科に相談し、改善してもらいます。ストレスや疲れをためないように、また、夜更かしなどは避け、規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの取れた食事を摂るようにしましょう。

ヘルペス性口内炎とは、ウィルス性口内炎の一種です。単純ヘルペスウィルスが感染することで、口の中に炎症を起こします。生後6ヶ月以降の乳幼児に多く発症し、口や唇、皮膚などに口唇ヘルペスと呼ばれる潰瘍が1個〜数個まとまって現れます。単純ヘルペスウィルスは、ウィルスを持つ人が洗顔や歯磨き後に使うタオルや唾液に触れることで、感染が起こるといわれています。ヘルペスウィルスを持っているお母さんが、子供にキスをして、うつしてしまう場合もあります。

 

単純ヘルペスウィルスに感染すると、2日〜12日ほどの潜伏期間を経て発症します。ヘルペス性口内炎が発症すると、歯ぐきの炎症や口の中の痛み、発熱、頚部リンパ節が腫れるなどの症状が現れます。口の中に水泡ができ、それが破裂すると、潰瘍となります。乳幼児がヘルペス性口内炎になると、口内炎ができる前に、口の中がチクチクと痛むので、不快感を訴え泣きますが、症状が見えないため、親は病気に気がつかない場合もあります。口内炎は、小さなものがたくさんでき、ひどく痛みます。口の中が痛いために、よだれが増え、食事や水分を受け付けないことがあります。

 

ヘルペス性口内炎の治療は、主に対処療法になります。高熱には解熱剤、口の中の痛みをとるために、痛み止めの薬を使用します。発熱は4〜5日で落ち着きますが、口内炎は治るまで、1週間〜10日ほどかかります。発熱や口内炎での口の痛みによって、食事や水分を受け付けず、脱水症状になる可能性がありますので、注意が必要です。口の中を刺激しない食べ物を選んで、こまめに水分を摂るように気をつけます。ヘルペス性口内炎は、乳幼児に多い病気ですが、成人になってから起こすこともあります。その場合、乳幼児の時に発症するよりも重症な場合が多く、注意が必要です。

カタル性口内炎とは、口の中の粘膜が赤く炎症を起こしたり、白濁、ひび割れなどを起こす口内炎です。別名、紅斑性口内炎とも呼ばれ、口の中に赤い斑点ができることもあります。アフタ性口内炎は、円形や楕円形の表面が白色の潰瘍ができますが、カタル性口内炎ははっきりとした境目がありません。カタル性口内炎になると、ほおや舌など、口の中の粘膜全体が赤く腫れ、赤い斑点が現れることもあります。唾液の量が増え、口臭が発生し、口の中が熱く感じることもあります。また、味覚が分からなくなってしまったり、しょっぱい、辛いなどの刺激の強い食べ物を食べると、口の中がしみることもあります。

 

カタル性口内炎の原因はいくつかあり、入れ歯や矯正器具、火傷などで、口の中の粘膜に刺激を受けた場合や、虫歯や歯槽膿漏、歯周病などで、口の中の衛生状態が悪かった場合、高熱を伴うウィルス性の風邪などの病気で全身の体力が消耗している場合などがあげられます。また、カタル性口内炎は、子供に多くみられ、子供が指をしゃぶったり、異物を口の中に入れることで、口の中が不衛生になり発症することもあります。

 

カタル性口内炎の治療は、抗生物質の入った口腔内用の軟膏を使用したり、ぬるま湯などの刺激のないうがいをして、口の中を清潔に保つようにします。入れ歯や矯正器具の不具合が原因の場合は、不具合な部分を改善しましょう。また、虫歯や歯周病などの、口の中のトラブルが原因の場合は、治療を行います。風邪などの他の病気が原因だった場合は、病気が改善されれば、カタル性口内炎の症状も治っていくでしょう。カタル性口内炎は、治療をすれば、1週間〜10日ほどで治りますが、症状が長引いたり、繰り返し発症していると、他の重大な病気に発展することもありますので、しっかりと原因の除去と治療をすることが大切です。

カンジダ性口内炎とは、口腔カンジダ症、モリニア症とも呼ばれ、口の中で、カンジダというカビ(真菌)の一種が増殖することで起こる口内炎です。カンジダ性口内炎は真菌に属している「candida albicans」が、口の中の粘膜の表面に増殖することで起こる口腔粘膜感染症で、口の中で起こるカビが原因の病気の中では最も多い疾患です。「candida albicans」は、口腔内の常在菌で、病原性は低く、健康な人がカンジダ性口内炎になることは、希です。カンジダ性口内炎は、糖尿病や血液疾患、悪性腫瘍、エイズなどの何らかの基礎疾患がある人や、身体の抵抗力の低い乳幼児や高齢者、妊婦などに発症するといわれています。また、抗生物質などの薬での治療により、口の中の常在菌のバランスが崩れることが原因で発症することもあります。

 

カンジダ性口内炎の症状は、頬の内側や口の天井部分である口蓋、舌などに、白い苔のようなものが点状や粉状、地図状に出てきます。食べる時などに痛みがあり、白い苔は、ガーゼなどで触れると簡単に剥がれ、剥がれた後は、赤く炎症を起こしたり、出血が見られることもあります。白い苔は、悪化すると剥がれにくくなっていきます。また、口の中が赤くただれるびらんが起こり、痛みが伴う場合もあります。これは、抗生物質やステロイドを長期的に使用することで、口の中の常在菌のバランスが崩れると、菌交代現象を起こすことで起こります。口の中にできた白い苔を剥がすことでこの症状を引き起こすこともあります。

 

カンジダ性口内炎の治療は、抗真菌剤を含む薬でうがいをしたり、軟膏をつけるなどをおこないます。基礎疾患がある場合は、基礎疾患の治療もおこない、抗生物質やステロイドが原因の場合は、薬の使用を止めたり、量を減らす対処をします。抵抗力が落ちている場合は、栄養補給などで抵抗力を回復します。乳幼児がカンジダ性口内炎になった場合、口の中の痛みなどにより、食事や水分摂取量が減ることがありますので、特に注意が必要です。

口の両端を口角といいますが、口角炎とは、口角に炎症が起き、口角がただれだり、亀裂が入ったり、かさぶたができることをいい、口角びらんとも呼ばれます。口を大きく開けると口角が裂け、痛みを伴います。また、かさぶたを無理に剥がすと、出血することもあります。口角は、唇の両端で、口の中の粘膜とつながった状態です。そのため、唾液が浸透しやすく、他の皮膚に比べてふやけやすい部分です。口角炎は、口角の皮膚が唾液によりふやけ、そこに様々な原因がプラスされて引き起こされます。口角炎の原因は、以下のようなことなどがあげられます。

 

●カンジダや細菌、ウィルスの感染
●ビタミン不足
●よだれが出ていたり、唇を舐める癖がある
●身体の抵抗力を低くする、糖尿病や貧血、悪性腫瘍などの基礎疾患がある

 

 

カンジダが原因の場合、カンジダが口角に増殖することで起こり、白い苔のようなものが付着したり、ただれがあります。細菌では、ブドウ球菌や連鎖状球菌の感染によるものがほとんどで、黄色のかさぶたができたります。ウィルスは、ヘルペスウィルスによるもので、一般的には子供に多く、ヘルペス性口内炎が起きてから口角炎が起こります。大人の場合は、口角炎だけが起こるようです。ビタミン不足は、口角炎だけでなく、口内炎の原因ともされていますが、特に、ビタミンB2の欠乏が口角炎の原因とされています。乳幼児では、よだれが多いことが原因で口角炎になることがあります。また、唇を舐める癖がある人は、口角が常に湿った状態になるので、口角炎になりやすくなります。

 

口角炎の治療は、カンジダや細菌による口角炎では、抗真菌剤や抗生物質が含まれる軟膏を使用します。ビタミン不足であれば、ビタミン剤を使い、唇を舐める癖が原因の場合は、癖を改善するように注意します。口角炎の症状が軽い場合は、市販されている口角炎の治療軟膏などで、治すことができます。また、ビタミン不足を補うために、市販のビタミン剤を飲むことも良いでしょう。身体の抵抗力を低くする基礎疾患がある場合、口角炎を長期化させる可能性がありますので、注意が必要です。